一般社団法人大阪府建築士事務所協会

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・ぶらり大阪”景観”ウォーク

(15)法楽寺
  ~平成の三重宝塔~

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 真言宗泉涌寺派は 大本山紫金山小松院法樂寺(田辺不動尊)が正しい名称で、昔から「田辺のお不動さん」の名で親しまれています。平家の棟梁・平重盛公が創建しました。創建の趣旨は、保元・平治の乱で戦死した霊を怨親平等の精神で祀るためであり、源為朝の念持仏・如意輪観音菩薩が安置されています。本堂の建物は書院造り(移築)です。梵語(サンスクリット語)研究、人の道を説いた『十善法語』で知られる慈雲尊者(1718~1804)は13歳の時、ここで出家しています。
 山門と本堂の間には力強い木組みの三重宝塔が樹齢1000年近い楠の大木と相対し、法楽寺の象徴となっています。この三重宝塔は、平成8年11月26日、三笠宮崇仁親王臨席のもと落慶法要が行われました。通称「平成の三重宝塔」ともいわれ、本尊は金剛界大日如来像、脇侍として江戸時代の作と伝わる不動明王立像と愛染明王坐像があります。塔の高さは約23メートルです。三重塔の基礎構造の心柱は、別格の神秘性をもって位置付けられ、宗教的意味合いだけでなく、耐震性の根源を心柱に求める説や、何十トンもある希少な巨木を運搬・加工させた権力・財力、それらをつなげて、直立させる職人技など、いろいろな要素がある構造建築の仕組みです。基礎の部分で心柱の立て方には3通り(地中礎石型、地上礎石型、宙ぶらりん型)あります。心柱と塔の小屋組みは、三層の屋根の頂上部ただ1カ所だけ接していて、1~2層では接点を持ちません。同じ太い柱でも、大黒柱とは似て非なるものです。
 また境内には、書家で恩賜賞受賞作家の小坂奇石の作品400点余りを収蔵している「リーヴスギャラリー小坂奇石記念館」があります。案内をしていただいたのは、ここの学芸員の砂田 円さんです。
本堂裏側には樹齢3~400年の松の大木のある庭園と茶室「法雲庵」があり趣のある空間となっています。

建築士による解説動画/前編
建築士による解説動画/後編